TPPと保護期間延長でどうなる日本の著作権!?(まえがき)
【前書きに代えて】
本エントリでは、日本を代表する著作権法のエース2名による討論をお届けします。中心議題は「TPPがもたらす日本の著作権法への影響(特に保護期間延長問題を中心に)」というものです。
以下ざっと、その話題について書いてみます。
(今回の討論に至る「経緯」をご存じの方、前置きなどいいからすぐに討論を読みたい方は、イントロ、もしくは目次にお進みください)
まず、いよいよ本格交渉が始まったTPP(環太平洋経済連携協定)ですが、大手メディアでその進捗や交渉内容が伝えられるのは、今のところ自動車、コメ、農産物、医療の話題ばかり。
やっと最近になって、本日の主役のひとりである福井弁護士の活躍もあり、「知的財産権」もTPPの重要な論点のひとつだという報道を、チラホラとは申しませんが「チラ」くらいは見かけるようになりました。
小説、マンガ、ゲーム、音楽、映画といった従来からよく知られている古くからある文化的な側面に加え、プログラム、動画サイト、海賊版、デザイン、同人誌、コミケ、コスプレといった比較的新しい話題。あるいは貿易赤字、Webプラットフォーム、プリントメディアの盛衰、国家主導による規制のあり方などの非常に大きい話。
普段から著作権に関心のある方はもちろん、「著作権保護期間の延長問題ってなんだ」、「TPPでアメリカは日本に(知財条項において)どんな要求を突きつけているんだ」、「保護期間が延長するとどんなことが起こるんだ」、「なんだかヤバそうだから突っぱねればいいのに“別に延長してもいいんじゃない”と言っている人はどういう了見なんだ」、このように考えている方も、ぜひご一読ください。
冒頭に記しましたとおり、本エントリに登場する福井先生と玉井先生は、この問題に関して日本のエースです。これ以上詳しくて優しく噛み砕いて語れる人は、存在しないと考えてもよいでしょう。
最高レベルの法律家たちの戦いを(無料で!)見られるという意味でも、大変意義深い研究会であったと思います。
なお、本エントリおよび本サイトの管理人は、どってことない単なる一編集者です。長期発言の書き起こしなんて10年ぶりくらいに手がけました。
なるべく主観は省いて、現場の雰囲気に即しつつ発言に忠実に起こしたつもりですが、それでも主旨が読み取りづらかったり、編集方針がえらく偏って見えたり、もっと単純に文章がおかしかったりする点がありましたら、それはだいたい管理人の責任です。
登壇者含め、このエントリを読んでクレームや訂正要求、誤字脱字の指摘、問い合わせ等ございましたら、各エントリのコメント欄に書いていただくか、管理人宛にツイッターなりなんなりで呟いていただけますと幸いです。
特に登壇者の皆さま、現場にいらっしゃった皆さまからの「テメーここまで書くとは思ってなかったぞ消せこの野郎」というクレームは積極的に受け入れていく方針ですので、「生のまま」が読みたい方は早めに通読されることをお薦めいたします。
最後になりましたが、玉井克哉先生、福井健策先生、ならびに本研究会を開催するにあたりご尽力くださいましたすべての皆さまに感謝の辞を述べたいと思います。大変勉強になりました。本当にありがとうございます。
願わくばこのエントリが半年後、1年後、贅沢を言えばその先まで残って読み継がれ、「あの時にこういう議論をキッチリやっておいてよかった」、「それがちゃんとしたかたちで保存され、何度も参照されることで、多くの人が繰り返し楽しみ、議論を前進させることができる」と言われるよう、祈っております。
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管理人(たられば)